「時」が主題の短歌

HOLGA 120GN

「時」が主題の短歌を10個上げてみた(右の三角マークをクリックして簡単な解説を紹介)

1. あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む (柿本人麻呂)

長い夜を一人で過ごす寂しさを、山鳥の尾の長さに例えています。

2. 思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢としりせば さめざらましを (小野小町)

 愛しい人を思いながら眠ると夢に出るが、それが夢だと知っていたら目覚めたくないという気持ちを表現しています。

3. 桜花 ちりぬる風の なごりには 水なき空に 浪ぞたちける (紀貫之)

桜の花が散る風の名残りが、空に波を立てるように見える様子を詠んでます。

4, 黒髪の 乱れも知らず うち臥せば まづかきやりし 人ぞ恋しき (和泉式部)

 黒髪が乱れることも気にせずに横たわると、まず髪をかき分けてくれた人が恋しいという気持ちを表現しています。

5. 年たけて またこゆべしと 思ひきや 命なりけり 佐夜の中山 (西行)

 年を取って再びこの山を越えることになるとは思わなかったが、命が続いていることへの感謝の気持ちを表現している。

6. 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらえば 忍ることの 弱りもぞする (式子内親王)

命の糸が絶えるなら絶えてしまえ、長く生きると忍耐が弱くなるという気持ちを表現しています。

7. 夕されば 野辺の秋風 身にしみて 鶉鳴くなり 深草の里 (藤原俊成)

夕方になると秋風が身にしみ、鶉の鳴き声が聞こえる深草の里の情景を詠んでいます。

8. 春の夜の 夢の浮橋 と絶えして 峰にわかるる 横雲の空 (藤原定家)

春の夜の夢のように儚い橋が途切れ、山の峰に横たわる雲の空を詠んでいます。

9. ながめつつ 思ふも寂し ひさかたの 月の都の 明け方の空 (藤原家隆)

月の都の明け方の空を眺めながら、寂しさを感じる様子を表現しています。

10. 箱根路を われこえくれば 伊豆のうみや 沖の小島に 波の寄る見ゆ (源実朝)

箱根の道を超えると、伊豆の海に浮かぶ小島に波が寄せる様子が見えることを詠んでいます。

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