「時」が主題の俳句

HOLGA120GN

「時」が主題の俳句を10個上げてみた(右の三角マークをクリックして簡単な解説を紹介)

1. 古池や 蛙飛び込む 水の音(松尾芭蕉)

 静寂の中に突然現れる音の存在感を通じて、自然の美しさや一瞬の変化を感じさせるものです。

2. 夏草や 兵どもが 夢の跡(松尾芭蕉)

 平泉の高館(たかだち)という場所で詠まれました。ここは、源義経が最後を迎えた場所として知られています。芭蕉は、かつての栄華が消え去り、ただ夏草が生い茂るだけの風景を見て、人の世の儚さを感じたのです。自然の力強さと人間の儚さを対比させることで、無常観を表現しています。

3. 秋深き 隣は何を する人ぞ(松尾芭蕉)

 芭蕉の晩年の作品であり、1694年に大阪で読まれたものです。芭蕉が体調を崩し臥せっていた時期に詠まれたもので、孤独感や人恋しさが感じられます。

4. 春の海 終日(ひねもす)のたり のたりかな(与謝蕪村)

 春の海が一日中穏やかに波打っている様子を描写しており、そののどかな情景を詠んでいます。

5. 五月雨を 集めて早し 最上川(松尾芭蕉)

 芭蕉が実際に最上川を川下りした際の体験をもとに詠まれたもので、自然の力強さとその美しさを感じさせるものです。

6. 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声(松尾芭蕉)

 自然の静けさと蝉の声の対比を通じて、深い静寂を表現しています。芭蕉が山形県の立石寺を訪れた際に詠まれました。

7. 目には青葉 山ほととぎす 初鰹(山口素堂)

視覚、聴覚、味覚の三つの感覚を通じて初夏の風情を楽しむ様子を描写しています。

8. 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺(正岡子規)

 柿を食べている時に法隆寺の鐘の音が響いてきたという情景を描写しています。秋の風物詩である柿と、法隆寺の鐘の音が組み合わさることで、季節感と場所の雰囲気を強調しています。

9. 行くや春 鳥啼き魚の 目は泪(松尾芭蕉)

 春が過ぎ去ることへの寂しさや無常観を、鳥の鳴き声や魚の涙という自然の情景を通じて表現しています。

10. 冬枯れや 水鳥の影 波に消ゆ(松尾芭蕉)

 冬の静かな風景の中で、水鳥の影が波に揺れる様子を描写し、その寂しさと美しさを感じさせます。

目次